ラカニアン=マゾヒスト
2007/04/14/Sat
なんか、悟った。
フィーリング。
デリダの脱構築。と、ラカンの否定神学。
どっちも、否定性。破壊。無化。
脱構築は、ファルス的享楽、みたいな。否定神学は、他者の享楽、みたいな。
ちぎっては投げて破壊するのが、脱構築、みたいな。飲みこんで破壊するのが、否定神学、みたいな。
だから、両者とも、無を愛憎してなくてはならない。
無の上に、生クリームをかけるか、チョコレートソースをかけるか、の違い。
前者は、強迫神経症とか、ヒステリー。後者は、鬱病とか、喪とか、マゾヒスト。
わたしは、ヒステリーで、マゾヒスト。
どっちでもよくて、どっちもよくない。
わたしは、排除されていい。排除されたくない。
わたしは、糞便、みたいな。
多分、たまたま、ラカンの方にこびりついているだけ。
こびりついているけど、棄却されたがっていて、棄却を恐れている。
棄却されたら、対象aになれるかもしれない。
誰かが、便器を覗きこんでくれるかもしれない。覗きこんでくれないかもしれない。
だけど、わたしは、解消されない。
ガスオーブンで顔を焼き、自殺した詩人。彼女は、覗きこんで、何を見たのだろう? 誰を、覗き返したのだろう?
無とは、なんて自然体なんだ。
屁理屈こねているのは、人間の方。
指。キーボード。コップ。ペットボトル。蒸しパン。おちゃっぱ、捨てなきゃ。立ち上がったら、自然体で、そこにいる。そこに、いられている。つねに。すでに。
デリダは、男。ラカンも、男。二人とも、女を求めていた。
わたしは、糞便だった。
マゾヒストは、諌めを解く。自らの体を、モノと化す。現実界から、呼び戻す。
だから、ラカニアンは、排除される。棄却される。嫌われる。
わたしは、媚びる。こびりつく。
=====
会員各位
十月一日をもって、私たちはいよいよ組織としての活動を開始することになりました。
すでに御承知のように、私たちの活動の主眼は、マゾヒズムの本義を世間の人々に正しく認識してもらうことです。一般人がしばしば口にする「マゾヒストは自尊心と自由と平等の精神を放棄し、人間の尊厳を貶めている」とか「マゾヒズムは虐げられているマイノリティに敗北主義を植えつけることによって、現今の不平等な社会制度の維持に奉仕している」といった誤解に基づく批判、あるいはそこに官能の漂わない単なる自虐趣味や忍従の美学、自己犠牲の精神等を<マゾヒズム>と形容する間違い、はたまた私たちがマゾヒストであるとカミング・アウトした際に、優位を保証されたと一人合点して急に偉そうな態度をとり始めたりにやにや笑い出す人々に対して、毅然と「違う」と伝えること。
委員会の名において行われる抗議行動ばかりではなく、会員一人一人が日常の場面でも機会があればマゾヒズムの何たるかを人々に知らしめる努力をして行きましょう。
今後の具体的な活動計画は追ってお知らせします。
全米マゾヒスト地位向上委員会
=====
松浦理英子氏著『裏ヴァージョン』より。
フィーリング。
デリダの脱構築。と、ラカンの否定神学。
どっちも、否定性。破壊。無化。
脱構築は、ファルス的享楽、みたいな。否定神学は、他者の享楽、みたいな。
ちぎっては投げて破壊するのが、脱構築、みたいな。飲みこんで破壊するのが、否定神学、みたいな。
だから、両者とも、無を愛憎してなくてはならない。
無の上に、生クリームをかけるか、チョコレートソースをかけるか、の違い。
前者は、強迫神経症とか、ヒステリー。後者は、鬱病とか、喪とか、マゾヒスト。
わたしは、ヒステリーで、マゾヒスト。
どっちでもよくて、どっちもよくない。
わたしは、排除されていい。排除されたくない。
わたしは、糞便、みたいな。
多分、たまたま、ラカンの方にこびりついているだけ。
こびりついているけど、棄却されたがっていて、棄却を恐れている。
棄却されたら、対象aになれるかもしれない。
誰かが、便器を覗きこんでくれるかもしれない。覗きこんでくれないかもしれない。
だけど、わたしは、解消されない。
ガスオーブンで顔を焼き、自殺した詩人。彼女は、覗きこんで、何を見たのだろう? 誰を、覗き返したのだろう?
無とは、なんて自然体なんだ。
屁理屈こねているのは、人間の方。
指。キーボード。コップ。ペットボトル。蒸しパン。おちゃっぱ、捨てなきゃ。立ち上がったら、自然体で、そこにいる。そこに、いられている。つねに。すでに。
デリダは、男。ラカンも、男。二人とも、女を求めていた。
わたしは、糞便だった。
マゾヒストは、諌めを解く。自らの体を、モノと化す。現実界から、呼び戻す。
だから、ラカニアンは、排除される。棄却される。嫌われる。
わたしは、媚びる。こびりつく。
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会員各位
十月一日をもって、私たちはいよいよ組織としての活動を開始することになりました。
すでに御承知のように、私たちの活動の主眼は、マゾヒズムの本義を世間の人々に正しく認識してもらうことです。一般人がしばしば口にする「マゾヒストは自尊心と自由と平等の精神を放棄し、人間の尊厳を貶めている」とか「マゾヒズムは虐げられているマイノリティに敗北主義を植えつけることによって、現今の不平等な社会制度の維持に奉仕している」といった誤解に基づく批判、あるいはそこに官能の漂わない単なる自虐趣味や忍従の美学、自己犠牲の精神等を<マゾヒズム>と形容する間違い、はたまた私たちがマゾヒストであるとカミング・アウトした際に、優位を保証されたと一人合点して急に偉そうな態度をとり始めたりにやにや笑い出す人々に対して、毅然と「違う」と伝えること。
委員会の名において行われる抗議行動ばかりではなく、会員一人一人が日常の場面でも機会があればマゾヒズムの何たるかを人々に知らしめる努力をして行きましょう。
今後の具体的な活動計画は追ってお知らせします。
全米マゾヒスト地位向上委員会
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松浦理英子氏著『裏ヴァージョン』より。
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