小心な小市民
2008/01/10/Thu
糞尿が湧き出る泉、あるいは肉もミキサーにかけたかのようなどろどろとした血溜まりの中から、水面が火傷して腫れ物が出来上がるかのように、ゆっくりと、ぷっくりと泡が浮き上がる。
それが「私」であり、その一時がその一過程が美や聖性と言われるものだろう。
ぼんやりとした納得をしてさて、と立ち上がると、わたしの周りも糞尿あるいはどろどろ血が充満していた。
こりゃまずいと浮き上がろうとした。
浮き上がろうとしたのだ。
上に昇ろうとしたのだ。
どこかに逃げようと避難しようと水平移動しようとしたのではなく縦方向に移動しようとしたのだ。
水面まで出れば、わたしは「私」になり美しくなれるのだろうか。
ガラスに囲まれた部屋で向こう側にいる男性たちのにやついた歓待が受けられるのだろうか。
糞尿に、血にまみれたわたしは、歓待されるのだろうか。
多分、多分、この糞尿のどろどろ血の底無し沼は、深さがあってないのだ。深くて深くないのだ。縦移動できる水平面なのだ。
縦移動できると思えれば、糞尿をどろどろ血を深さだと開き直ってしまえば、というほどわたしは倒錯者ではない。精神異常者ではない。男根主義者ではない。小心な小市民だ。糞尿と血肉が圧縮された、わたし。あなた。
わたしは、あなたは、落とし穴は、空は、平面だったのだ。
それが「私」であり、その一時がその一過程が美や聖性と言われるものだろう。
ぼんやりとした納得をしてさて、と立ち上がると、わたしの周りも糞尿あるいはどろどろ血が充満していた。
こりゃまずいと浮き上がろうとした。
浮き上がろうとしたのだ。
上に昇ろうとしたのだ。
どこかに逃げようと避難しようと水平移動しようとしたのではなく縦方向に移動しようとしたのだ。
水面まで出れば、わたしは「私」になり美しくなれるのだろうか。
ガラスに囲まれた部屋で向こう側にいる男性たちのにやついた歓待が受けられるのだろうか。
糞尿に、血にまみれたわたしは、歓待されるのだろうか。
多分、多分、この糞尿のどろどろ血の底無し沼は、深さがあってないのだ。深くて深くないのだ。縦移動できる水平面なのだ。
縦移動できると思えれば、糞尿をどろどろ血を深さだと開き直ってしまえば、というほどわたしは倒錯者ではない。精神異常者ではない。男根主義者ではない。小心な小市民だ。糞尿と血肉が圧縮された、わたし。あなた。
わたしは、あなたは、落とし穴は、空は、平面だったのだ。
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