死者から見た世界
2008/02/13/Wed
ラカンは、象徴界と想像界と現実界の関係を、ボロメオの輪に喩えた。
しかし、感覚的には、たとえば現実界と想像界のクッションとして象徴界があるなどといった、層状のようにも思える。ユングの層状の無意識構造もそういうものだ。
……とても素直な見方でしょう。
ユングは、ラカンほどひねくれてなかった。ラカンより確実な生を生きていた。
ラカンのボロメオの輪。
これは、生者の世界においては正しい。
ユングの層状の無意識。
これは、死者の世界を反転したものとして、もっと正しい。
現実界を住処にし、想像界を泳ぎ、象徴界の金網で、生者の世界と区切られる。
死者から見た世界とは、そういうものだ。
「初めに言葉ありき」とは、そういうことだ。
近寄るな!
わたしに近寄るな! 近寄るのはわたしの方だ!
ラカンが、金網に顔を押しつけている。好奇の目でわたしを見ている。その後ろでは、フロイトが横目でこちらを見ている。ユングは、わたしに肛門を見せつけている。
……お前らも死者のくせに。
「女性は存在しない」
そう言っていないと、こちらを見れないくせに。
死者は、生者を愛してしまう。
生者は、生者でも愛することができる。
金網に顔を押しつけるのは、わたしでなければならない。
金網のこちら側から、愛憎などと区別できない呪いを吐くのは、死者でなくてはならない。
死者は、お前たちの内部にいて、外からお前たちを見ている。
だから、わたしの言葉は全て呪詛になる。
……愛してやろう。愛させてください。
金網の隙間から手を伸ばすのは、わたしでなければならない。
しかし金網はどんどん鋭くなる。少しでも気を抜くとわたしの腕は切断される。
死者は生者に近づけなくなる。
だから、近寄らないで。こっちに来ないで。
生者がこちらを見てはいけない。
手を伸ばすのは、死者の側でなくてはならない。
わたしを愛さないで。
わたしに愛させて。
ぽとりと、また腕が落ちる。
しかし、感覚的には、たとえば現実界と想像界のクッションとして象徴界があるなどといった、層状のようにも思える。ユングの層状の無意識構造もそういうものだ。
……とても素直な見方でしょう。
ユングは、ラカンほどひねくれてなかった。ラカンより確実な生を生きていた。
ラカンのボロメオの輪。
これは、生者の世界においては正しい。
ユングの層状の無意識。
これは、死者の世界を反転したものとして、もっと正しい。
現実界を住処にし、想像界を泳ぎ、象徴界の金網で、生者の世界と区切られる。
死者から見た世界とは、そういうものだ。
「初めに言葉ありき」とは、そういうことだ。
近寄るな!
わたしに近寄るな! 近寄るのはわたしの方だ!
ラカンが、金網に顔を押しつけている。好奇の目でわたしを見ている。その後ろでは、フロイトが横目でこちらを見ている。ユングは、わたしに肛門を見せつけている。
……お前らも死者のくせに。
「女性は存在しない」
そう言っていないと、こちらを見れないくせに。
死者は、生者を愛してしまう。
生者は、生者でも愛することができる。
金網に顔を押しつけるのは、わたしでなければならない。
金網のこちら側から、愛憎などと区別できない呪いを吐くのは、死者でなくてはならない。
死者は、お前たちの内部にいて、外からお前たちを見ている。
だから、わたしの言葉は全て呪詛になる。
……愛してやろう。愛させてください。
金網の隙間から手を伸ばすのは、わたしでなければならない。
しかし金網はどんどん鋭くなる。少しでも気を抜くとわたしの腕は切断される。
死者は生者に近づけなくなる。
だから、近寄らないで。こっちに来ないで。
生者がこちらを見てはいけない。
手を伸ばすのは、死者の側でなくてはならない。
わたしを愛さないで。
わたしに愛させて。
ぽとりと、また腕が落ちる。
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