消えろ
2009/01/30/Fri
ベッドに横になっていた。
自分で寝ているのか寝ていないのかわからない感じだった。
浴室の方からシャワーの音が聞こえる。シャワーというよりバシャバシャという音。浴槽で子供がはしゃいでいるかのような。
一人暮らしなのでそんなわけはない。なので隣の部屋の音か、と思う。子供のいる家族が住んでいるのだろう、と思う。
姉が弟を叱っているような声も聞こえてくる。母親が姉と弟両方を叱る声も聞こえてくる。客人が来ているのか、父親らしき声が男の人と口論している声も聞こえてくる。
にぎやかな家族だ、と思い羨ましくなる。
だけど、浴室の音は近すぎる。うちの浴室に誰かが忍び込んでいるのではないかと思う。
金縛りのような体をぎこちなく持ち上げ、そちらの方を見る。明かりはついていない。やっぱり隣の音なのだろうか。
再び横になると、わたしの隣に誰かが立っていた。
暗くてぼんやりしているけど、顔がやけに白い女性だと思った。目鼻口はなかった。よく見えなかった。
いつもの夢か幻覚かどっちとも言えない奴だ、と思った。なので、
「消えろバカ!」
と怒鳴ろうとしたけど、金縛りなのでうまく声に出ない。仕方ないので、ただうめいた。拒否の意志だけでも示そうと思った。
だけど女性は消えなかった。マネキンだと思った。
いつもの夢か幻覚かどっちとも言えない奴だとわかっていたので、無駄だと思ったけど、固まっている足をなんとか動かして、蹴り倒そうと思った。
マネキンは笑った。「ぎゃはは」という下品な笑い方だった。
やっと体が動くようになったので、明かりをつけた。女性はいなくなっていた。浴室の音も、隣の音も消えていた。静まり返っていた。
隣人の顔すら見たこともないことを思い出した。
涙を流していることに気がついた。
自分で寝ているのか寝ていないのかわからない感じだった。
浴室の方からシャワーの音が聞こえる。シャワーというよりバシャバシャという音。浴槽で子供がはしゃいでいるかのような。
一人暮らしなのでそんなわけはない。なので隣の部屋の音か、と思う。子供のいる家族が住んでいるのだろう、と思う。
姉が弟を叱っているような声も聞こえてくる。母親が姉と弟両方を叱る声も聞こえてくる。客人が来ているのか、父親らしき声が男の人と口論している声も聞こえてくる。
にぎやかな家族だ、と思い羨ましくなる。
だけど、浴室の音は近すぎる。うちの浴室に誰かが忍び込んでいるのではないかと思う。
金縛りのような体をぎこちなく持ち上げ、そちらの方を見る。明かりはついていない。やっぱり隣の音なのだろうか。
再び横になると、わたしの隣に誰かが立っていた。
暗くてぼんやりしているけど、顔がやけに白い女性だと思った。目鼻口はなかった。よく見えなかった。
いつもの夢か幻覚かどっちとも言えない奴だ、と思った。なので、
「消えろバカ!」
と怒鳴ろうとしたけど、金縛りなのでうまく声に出ない。仕方ないので、ただうめいた。拒否の意志だけでも示そうと思った。
だけど女性は消えなかった。マネキンだと思った。
いつもの夢か幻覚かどっちとも言えない奴だとわかっていたので、無駄だと思ったけど、固まっている足をなんとか動かして、蹴り倒そうと思った。
マネキンは笑った。「ぎゃはは」という下品な笑い方だった。
やっと体が動くようになったので、明かりをつけた。女性はいなくなっていた。浴室の音も、隣の音も消えていた。静まり返っていた。
隣人の顔すら見たこともないことを思い出した。
涙を流していることに気がついた。