ヤマネくん
2009/03/01/Sun
ヤマネくんが学校に来なくなって何日も経つのに誰も何も言わなかった。
わたしも後で気づいた。結構前からいなかったように思う。
いつの間にか机もなくなっていた。
もしかしたら最初からいなかったのかもしれない。
ヤマネくんという人物はわたしが作り上げた妄想だったのかもしれない。
中学生になって卒業アルバムを見た。
正門の前で撮ったクラス写真がある。生徒の人数を数える。三十九人いた。
個人の名前と写真が乗っているページがある。クラスの人数を数える。三十八人だった。
ヤマネくんは悪ガキグループの下っ端みたいな子だった。そのグループと対立していたわたしは彼らを呪ったことがある。この世からいなくなってしまえ、と。
呪いが弱かったのかもしれない。たまたまヤマネくんだけが被害に遭ったのかもしれない。
そう言えば何か病気持ちだったような気もする。公立だからか病気持ちの子が多い小学校だった。
だけどよく覚えていない。背が低く小太りだったことぐらいしか覚えていない。悪ガキグループに真っ白な太腿をよくぱちぱちと叩かれていた。確かに叩き心地はよさそうだったかもしれない。
転校したのなら、急な転校であっても先生から何か一言あるはずだ。
しかしわたしは中学受験があったので、休みがちだったしあまり学校のことに関心を持っていなかったと推測される。単純に聞き逃しただけかもしれない。
彼が所属していたグループの子たちなら、何か知っているのかもしれない。
遠くの中学校に進学することになって、早めに引っ越しただけかもしれない。
普通ならそう考えるだろう。わたしも誰かから聞かれたらそう答えるだろう。
だけど、わたしは確信していた。
彼はわたしの妄想の産物で、妄想なのにわたしの言うことを聞かなかったので、消してしまったのだ。
こんなことを誰かに言っても、よくてギャグで言っているとしか思われないだろう。
だけど、わたしは本気でそう思っているところがある。
二十年以上経った今でも。
悪ガキたちを呪った時の気持ちは明確に残っているからだ。
なんで呪ったのかなんて覚えていない。
殺してやりたいくらい憎かったことだけ覚えている。
憎しみは確実だ。
愛や友情などより確固とした存在感がある。
憎しみは水に流せられない。
愛や友情が流れていくだけ。
わたしも後で気づいた。結構前からいなかったように思う。
いつの間にか机もなくなっていた。
もしかしたら最初からいなかったのかもしれない。
ヤマネくんという人物はわたしが作り上げた妄想だったのかもしれない。
中学生になって卒業アルバムを見た。
正門の前で撮ったクラス写真がある。生徒の人数を数える。三十九人いた。
個人の名前と写真が乗っているページがある。クラスの人数を数える。三十八人だった。
ヤマネくんは悪ガキグループの下っ端みたいな子だった。そのグループと対立していたわたしは彼らを呪ったことがある。この世からいなくなってしまえ、と。
呪いが弱かったのかもしれない。たまたまヤマネくんだけが被害に遭ったのかもしれない。
そう言えば何か病気持ちだったような気もする。公立だからか病気持ちの子が多い小学校だった。
だけどよく覚えていない。背が低く小太りだったことぐらいしか覚えていない。悪ガキグループに真っ白な太腿をよくぱちぱちと叩かれていた。確かに叩き心地はよさそうだったかもしれない。
転校したのなら、急な転校であっても先生から何か一言あるはずだ。
しかしわたしは中学受験があったので、休みがちだったしあまり学校のことに関心を持っていなかったと推測される。単純に聞き逃しただけかもしれない。
彼が所属していたグループの子たちなら、何か知っているのかもしれない。
遠くの中学校に進学することになって、早めに引っ越しただけかもしれない。
普通ならそう考えるだろう。わたしも誰かから聞かれたらそう答えるだろう。
だけど、わたしは確信していた。
彼はわたしの妄想の産物で、妄想なのにわたしの言うことを聞かなかったので、消してしまったのだ。
こんなことを誰かに言っても、よくてギャグで言っているとしか思われないだろう。
だけど、わたしは本気でそう思っているところがある。
二十年以上経った今でも。
悪ガキたちを呪った時の気持ちは明確に残っているからだ。
なんで呪ったのかなんて覚えていない。
殺してやりたいくらい憎かったことだけ覚えている。
憎しみは確実だ。
愛や友情などより確固とした存在感がある。
憎しみは水に流せられない。
愛や友情が流れていくだけ。