ただそうであるだけの魔女
2009/03/22/Sun
怖い。いろいろ怖い。質量的な怖さではなく数的な怖さ。粒子的な怖さ。
「ない」ものを「ある」と信じ込んだ者たちの「ある者」が「ただそうであるだけのもの」を殺害していく。
怖い。人が怖いんじゃない。物が怖い。
物は物だ。コップはわたしだ。
わたしを殺害するために人は存在する。
殺せる側に回りたい。
わたしはわたしを殺したい。
わたしを殺す側に立てなくもない。
その時殺されているわたしは鬱状態だ。
散々暴力を振るわれ、生体システムが稼働しているだけの物。氏賀Y太『女子高生コンクリ詰め殺人事件』で描かれているごとく。
「殺して」
だけど人間は物を支配しきれていない。完全に殺すこともできないし、完全に存在させることもできない。
生産装置の部品は人間より言うことを聞いてくれない。
人間は人間を支配するために、人間に支配されるためだけにある幻想だ。
物自体から人へ、人から所有可能な物へ。
そうだよな。所有の主語は人以外にありえない。
あなたがそう言いたくなったのは、あなたという物自体が書かせたのですよ。
物自体は人を傷つけます。物自体も傷つけます。
あなたはわたしを傷つけるためにそう書いたのです。
あなたはあなた自身を傷つけるためにそう書いたのです。
ここが死角だから許される行為です。
「わたしの苦しみをわかって」=「あなたを苦しめたい」→「あなたの苦しみを教えて」=「わたしを苦しめて」
あなたが誰かわかっていませんが、傷つけ合うという手紙の交換は、ほんのかすかに成立したようにも思います。
後は勝手にやってください。
こちらも勝手にやります。
わたしにだって防衛機制はあります。
ガラスかもしれませんが。
凍えながら二人ともが
二人分傷ついている
教えてよ
『氷の微笑2』を見た。
全体としての出来には触れないが、一個だけ思ったことを。
治療中、女主人公が分析医に対してやってる行為ってまさにラカンの短時間セッションだわな。
ファルスの再発見で終わってくれないけど。
「ただそうであるだけのもの」が人なるものを傷つける、って事実は絶対に正常人には理解できないんだろうな。それを殺害して所有可能な物しか存在しなくなった主観世界では。
そうそう『ゲド戦記』も見たのよね。こういう正統派ストーリーって悪役の魅力がかなりポイントになるんだがヘタレすぎてワラタ。ラスボスあれだ、『絡新婦の理』で手始めに憑き物落としされた悪魔ラブな少女レベル。京極堂でも倒せそうだわ、確かに。
ランダには程遠い。
現代人にランダは描けないんだろうな。
悪い事ばっかりやってるけど時々いいこともする。
ただそいつの主観世界に善悪という分別がないだけ。
そいつと対峙すると善悪という分別こそが幻想だと気づかされる魔女。
ただそうであるだけの魔女。
ファルスを持った主体たちはそんな本当の魔女を欲望し続けている。
特に現代人は。
『ゲド戦記』のラスボスなら『氷の微笑2』のシャロン・ストーンの方がランダよりだな。
そんな程度。
BGM谷山浩子の『しまうま』で。
「ない」ものを「ある」と信じ込んだ者たちの「ある者」が「ただそうであるだけのもの」を殺害していく。
怖い。人が怖いんじゃない。物が怖い。
物は物だ。コップはわたしだ。
わたしを殺害するために人は存在する。
殺せる側に回りたい。
わたしはわたしを殺したい。
わたしを殺す側に立てなくもない。
その時殺されているわたしは鬱状態だ。
散々暴力を振るわれ、生体システムが稼働しているだけの物。氏賀Y太『女子高生コンクリ詰め殺人事件』で描かれているごとく。
「殺して」
だけど人間は物を支配しきれていない。完全に殺すこともできないし、完全に存在させることもできない。
生産装置の部品は人間より言うことを聞いてくれない。
人間は人間を支配するために、人間に支配されるためだけにある幻想だ。
物自体から人へ、人から所有可能な物へ。
そうだよな。所有の主語は人以外にありえない。
あなたがそう言いたくなったのは、あなたという物自体が書かせたのですよ。
物自体は人を傷つけます。物自体も傷つけます。
あなたはわたしを傷つけるためにそう書いたのです。
あなたはあなた自身を傷つけるためにそう書いたのです。
ここが死角だから許される行為です。
「わたしの苦しみをわかって」=「あなたを苦しめたい」→「あなたの苦しみを教えて」=「わたしを苦しめて」
あなたが誰かわかっていませんが、傷つけ合うという手紙の交換は、ほんのかすかに成立したようにも思います。
後は勝手にやってください。
こちらも勝手にやります。
わたしにだって防衛機制はあります。
ガラスかもしれませんが。
凍えながら二人ともが
二人分傷ついている
教えてよ
『氷の微笑2』を見た。
全体としての出来には触れないが、一個だけ思ったことを。
治療中、女主人公が分析医に対してやってる行為ってまさにラカンの短時間セッションだわな。
ファルスの再発見で終わってくれないけど。
「ただそうであるだけのもの」が人なるものを傷つける、って事実は絶対に正常人には理解できないんだろうな。それを殺害して所有可能な物しか存在しなくなった主観世界では。
そうそう『ゲド戦記』も見たのよね。こういう正統派ストーリーって悪役の魅力がかなりポイントになるんだがヘタレすぎてワラタ。ラスボスあれだ、『絡新婦の理』で手始めに憑き物落としされた悪魔ラブな少女レベル。京極堂でも倒せそうだわ、確かに。
ランダには程遠い。
現代人にランダは描けないんだろうな。
悪い事ばっかりやってるけど時々いいこともする。
ただそいつの主観世界に善悪という分別がないだけ。
そいつと対峙すると善悪という分別こそが幻想だと気づかされる魔女。
ただそうであるだけの魔女。
ファルスを持った主体たちはそんな本当の魔女を欲望し続けている。
特に現代人は。
『ゲド戦記』のラスボスなら『氷の微笑2』のシャロン・ストーンの方がランダよりだな。
そんな程度。
BGM谷山浩子の『しまうま』で。