世界不思議ハッケソ
2009/03/31/Tue
続き物の夢もよく見る。
四畳半の小さな部屋。壁には年季の入った和ダンスが並んでいる。奥に狭い上り階段が見える。部屋の中央にはちゃぶ台。わたしは中年の警官服を着た男と向かい合って座っている。
中年の警官がとつとつと喋る。
わたしはその男など見たこともないし全く知らないのだが、彼の話を聞いていると、なるほど自分がその男を逃がそうとしていたことになる。
彼は事件の全容をなかなか語らない。が、わたしは感づいてしまった。この一連の事件の真犯人はわたしの父か母なのだ。だから彼はわたしに真相を語りたがらない。
彼はわたしがそう感づいたことに察したのか、ある事実を語り始めた。わたしを調べているうちにわかったことだそうだ。
わたしの父や母は本当の親ではなく、本当の親は中国人で、数年前に死亡しているらしい。
わたしは全てを悟る。
父や母は、この何十年もかけて行なった犯罪の、アリバイとしてわたしを育てていたのだ。
しかし、最初はアリバイだったとはいえ、育てているうちに情が湧いたりするだろう。わたしは父や母になんの恨みもない。ごく普通の家庭に育ってきた。
だから、中国人の本当の親などどうでもいいと内心思っていたのだが、テレビドラマではここは泣くところだろう、と思い泣く演技をする。
中年警官はそんなわたしを見て押し黙る。よし、通用している。
ふと、階段の上が騒がしくなる。狭い階段から十数人の汚らしい格好をした子供たちがどたどたと下りてきて、わたしの背後を走り去っていく。
子供たちのやかましい声を背後に聞きながら、子供たちに嘘泣きだとばれてしまったように思え、わたしはひやひやする。タイミング悪いなあ、もう。
中年の警官は豆腐を売りに出かけていった。バイトしなきゃならないなんて警官も大変だ。あんなに子供作るから。
別の日。
わたしは男になっている。どでかいショッピングモールのようなビルをさまよっている。ショッピングモールではない。あるのはみんなスナックだ。わたしはスナック一軒一軒を見回っている。ハードボイルド小説では登場直後殺されるようなチンピラの日常だ。
ショッピングモールも外の風俗街も広い。広くはない。ごみごみしている。迷路のようだ。
わたしはふらふらになりながら、途中知り合いの店でビールを飲んだりしながら、仕事を果たしていく。
ゲロ臭い路地裏に辿り着き、その日最後の仕事に取りかかる。
イベントで使う音響卓を入れる箱のようなものに、使い古した外国人ホステスたちを詰め込む仕事。中国人やらフィリピン人やら多国籍である。
ホステスたちは、死んでいるのか気を失っているだけか知らないが、意識がないにも関わらず、なかなか上手く詰め込めない。夜が明けるまでに終えなければならないが、終わりそうにない。
この時、あの夢を思い出す。わたしの本当の親は中国人だという夢。
わたしはそれが夢であることを知っていながら、あることを思いつく。
自分がこの箱に納まっていれば、ただで中国に行けるのではないか。ボスにどやされることもないし一石二鳥だ。
しかしいろいろめんどくさそうだ。
どうでもいいことを悩んでいるうちに、空が白み始める。
またボスにどやされるだろうな、と陰鬱な気持ちになる。
また別の日。
わたしは犬ぞりをしている。犬ぞりなんてやったことないのに。
安っぽい雪景色。どんなに安っぽいかというと、マチャアキの西遊記のセットのような安っぽさ。
ああ、ここは中国で、わたしは親を探しているんだな、と思う。
いろいろあったがめんどくさくなったので省略する。
……中国なあ。仕事で一回行ったことあるけど。
中国じゃなくて天竺なんじゃねえか? でもそれだとインドだよな。
まあいいや。
四畳半の小さな部屋。壁には年季の入った和ダンスが並んでいる。奥に狭い上り階段が見える。部屋の中央にはちゃぶ台。わたしは中年の警官服を着た男と向かい合って座っている。
中年の警官がとつとつと喋る。
わたしはその男など見たこともないし全く知らないのだが、彼の話を聞いていると、なるほど自分がその男を逃がそうとしていたことになる。
彼は事件の全容をなかなか語らない。が、わたしは感づいてしまった。この一連の事件の真犯人はわたしの父か母なのだ。だから彼はわたしに真相を語りたがらない。
彼はわたしがそう感づいたことに察したのか、ある事実を語り始めた。わたしを調べているうちにわかったことだそうだ。
わたしの父や母は本当の親ではなく、本当の親は中国人で、数年前に死亡しているらしい。
わたしは全てを悟る。
父や母は、この何十年もかけて行なった犯罪の、アリバイとしてわたしを育てていたのだ。
しかし、最初はアリバイだったとはいえ、育てているうちに情が湧いたりするだろう。わたしは父や母になんの恨みもない。ごく普通の家庭に育ってきた。
だから、中国人の本当の親などどうでもいいと内心思っていたのだが、テレビドラマではここは泣くところだろう、と思い泣く演技をする。
中年警官はそんなわたしを見て押し黙る。よし、通用している。
ふと、階段の上が騒がしくなる。狭い階段から十数人の汚らしい格好をした子供たちがどたどたと下りてきて、わたしの背後を走り去っていく。
子供たちのやかましい声を背後に聞きながら、子供たちに嘘泣きだとばれてしまったように思え、わたしはひやひやする。タイミング悪いなあ、もう。
中年の警官は豆腐を売りに出かけていった。バイトしなきゃならないなんて警官も大変だ。あんなに子供作るから。
別の日。
わたしは男になっている。どでかいショッピングモールのようなビルをさまよっている。ショッピングモールではない。あるのはみんなスナックだ。わたしはスナック一軒一軒を見回っている。ハードボイルド小説では登場直後殺されるようなチンピラの日常だ。
ショッピングモールも外の風俗街も広い。広くはない。ごみごみしている。迷路のようだ。
わたしはふらふらになりながら、途中知り合いの店でビールを飲んだりしながら、仕事を果たしていく。
ゲロ臭い路地裏に辿り着き、その日最後の仕事に取りかかる。
イベントで使う音響卓を入れる箱のようなものに、使い古した外国人ホステスたちを詰め込む仕事。中国人やらフィリピン人やら多国籍である。
ホステスたちは、死んでいるのか気を失っているだけか知らないが、意識がないにも関わらず、なかなか上手く詰め込めない。夜が明けるまでに終えなければならないが、終わりそうにない。
この時、あの夢を思い出す。わたしの本当の親は中国人だという夢。
わたしはそれが夢であることを知っていながら、あることを思いつく。
自分がこの箱に納まっていれば、ただで中国に行けるのではないか。ボスにどやされることもないし一石二鳥だ。
しかしいろいろめんどくさそうだ。
どうでもいいことを悩んでいるうちに、空が白み始める。
またボスにどやされるだろうな、と陰鬱な気持ちになる。
また別の日。
わたしは犬ぞりをしている。犬ぞりなんてやったことないのに。
安っぽい雪景色。どんなに安っぽいかというと、マチャアキの西遊記のセットのような安っぽさ。
ああ、ここは中国で、わたしは親を探しているんだな、と思う。
いろいろあったがめんどくさくなったので省略する。
……中国なあ。仕事で一回行ったことあるけど。
中国じゃなくて天竺なんじゃねえか? でもそれだとインドだよな。
まあいいや。