アブラブログ

少し酒が入って深夜の町を歩いていると、まるで異国の地にいるような感じになる。
何度も通りなれた道。いつものマンションへの帰り道。
なのにわたしだけが浮いている。わたしの方に慣れていないのかもしれない。
わたしちょっと酔い方おかしいのね、まず足にくる。でもそこを通り越して飲むと平気になる。
そこまで飲むと二日酔いになっちゃってしんどい。足にくる程度でやめればいい。酒は飲んでも飲まれるな、ってね。
それに、足にきているときって、なんかダンスしているみたいだし。いや全然きれいなダンスじゃないけどさ。どっちかってと暗黒舞踏？　暗黒舞踏の人に失礼か。
誰もいないのはわかっているのに、異国の帰りなれた道に、背の高いダンサーを招待する。
いらっしゃい。わたしだけのダンスホールへようこそ。
針金みたいね、あなたの手足。でも滑らかに動くのね。
「骨ダンサー」って命名してあげる。ごめんね言語センスなくて。
それで、あなた誰？
顔はわたしと同じね。背も、高いって言ったけど、わたしがちっちゃくなってるだけか。他に誰もいないから高いと思っただけか。
すごいね。道端に落ちているゴミが照明になっている。でもわたしを照らしていない。夜空を照らしている。宇宙を照らしている。
光が通りすぎたあとのダンスホール。闇夜のダンスホール。
わたしは踊らないわ。踊れないもの。あなた踊って。あなたはわたしだから。
「骨ダンサー」はださすぎよね。芸名くらいつけてもいいわよね。
「ジャスミン」ってどう？

ジャスミン　もう帰りましょう　もとの一人に　すべて諦めて

この歌はエスじゃない。ファルスっぽい。「器官なき身体」じゃなく「身体なき器官」。昔のみゆきじゃなく最近のみゆきらしい曲。
たまにはいいじゃないの。ファルスも。
elveさんにいつもわたしが言ってることだよな、この歌詞。
ここから一歩落ちれば、エス。
糞尿地獄。
最後の「さみしくないわ」の「さ」あたり片足落ちてる気はするけどね。
昔のみゆきは、糞尿を、黒いのを、吸収し伝染させていたけど、今のみゆきは、いきどまりだ。糞尿を、黒いのを溜めている。
今の彼女は「憎しみの連鎖」を切断してしまっている。

二人でなければ半人前だと　責める人も世の中にはいるけれど
ジャスミン　もう帰りましょう　もとの一人に　すべて諦めて

ジャスミン　さみしくないわ　もとの一人に戻るだけだもの

ええ、そうね。じゃあ。
さよなら、ジャスミン。
ブヒャッ、アヒャヒャ。